母乳育児のためにできることは、出産直後の早期授乳や赤ちゃんとの肌の触れ合い、抱き方、おっぱいの飲ませ方、周りから協力を得ていくこと
どうも。助産師コーチの馬場佐希子です。
今日は、母乳育児ができればいいなと思っているあなたが、自分自身でできることを書きました。
授乳に関して、詳しい知識なんてなくても、赤ちゃんの欲求にしたがって、あなたの感覚で授乳していたら、母乳だけで育児ができた、というようになれば良いですね。
ですが、赤ちゃんにギャン泣きされたり、心ない言葉をかけられたりして、母乳不足を感じることもあるかもしれません。
そんな時は、下記の記事も参考にして下さい。
母乳が足りているかどうかのポイントや、母乳不足を感じた実体験を紹介しています。
母乳不足?産後2週間の実体験。旦那さんのこんな姿勢に助けられました。
母乳不足?本当に母乳が足りない?母乳不足かどうかを判断する5つの判断材料。
時期によって育児のためにあなたができることは変わっています。
- 母乳育児のために妊娠中からできること
- 産まれてすぐの赤ちゃんに授乳することが母乳育児成功につながるーカンガルーケアと産後1時間以内(特に30分以内)の授乳がオススメ
- 母乳が出てくるまでが勝負!赤ちゃんが欲しがるタイミングで何度も飲ませる頻回授乳をしよう
- 産後3日頃はおっぱいが張って辛いかもしれない。とにかく赤ちゃんに吸ってもらおう
- おっぱいを吸われると切れていたい、乳頭痛がある。乳頭痛は母乳が出始める1週間程度で落ち着いてくる
- 赤ちゃんが母乳を飲んだ分だけ母乳が作られるようになる
- 授乳中の抱き方いろいろを覚えよう
- 乳腺炎の予防にもなることは、おっぱいにいい
- 肩凝り解消できるように動かす
- 母乳育児のためにアルコールとタバコはNG
- 「おっぱい足りないんじゃないの?」の周りからの母乳不足の声は華麗にスルー
- 産後6〜9ヶ月でおっぱいは小さくなりますが、母乳は出ています
- 母乳育児のためにあなた自身ができることーまとめ
母乳育児のために妊娠中からできること
- 冷えを改善する
- 乳頭にクリームを塗る、熱いお湯をかけるなど、皮膚が乾燥するようなことは避ける
- 身体を整えておく
- 食事や睡眠など、生活全体を整えておく
出産直後に肌と肌を触れ合わせる
カンガルーケアという言葉を聞いたことがありますか。
これは、出産直後にお母さんと赤ちゃんの肌と肌を触れ合わせることです。
お母さんのお腹の辺りに赤ちゃんを乗せると、次第におっぱいを求めて、這い上がってきます。
肌と肌を触れ合わせることは、母乳育児だけでなく、赤ちゃんが外の世界に適応していくことや、母児の関係を築く上でも役に立ちます。
産まれてすぐの赤ちゃんに授乳することが母乳育児成功につながるーカンガルーケアと産後1時間以内(特に30分以内)の授乳がオススメ
生まれてすぐの赤ちゃんは、2時間は覚醒しています。
その後、数時間深い眠りに入ります。
生まれてすぐ〜産後1時間までに直接おっぱいを吸わせられると良いですね。
その場合は、赤ちゃんと共にいられる状況になってから、肌と肌を触れ合わせたり、いつも一緒にいられるようにしたり、抱っこやおんぶの機会を増やしていくと良いでしょう。
帝王切開の場合なども、バースプランについて話してみたり、あなたの希望を伝えてみて下さい。
母乳が出てくるまでが勝負!赤ちゃんが欲しがるタイミングで何度も飲ませる頻回授乳をしよう
生理的におっぱいが張ってくる時期があります。
おっぱいの張りを産後1日目〜産後3日頃に感じるでしょう。
特に産後3日頃には、おっぱいがキンキンに張って、痛い・・・という時期がきます。
おっぱいがカチカチに張ると、赤ちゃんが飲みにくくなることもあります。
また、おっぱいが張って、辛く感じます。
それを予防するためにも、産後3日頃までは特に、ちょこちょこ、ちょこちょこ赤ちゃんの欲しがるタイミングでに頻回授乳をすると良いです。
このことからも、母児同室は有効です。
産後早い時期からの頻回授乳はおっぱいの出も良くなります。
体調に合わせて進めていかれると良いですね。
産後3日頃はおっぱいが張って辛いかもしれない。とにかく赤ちゃんに吸ってもらおう
産後3日頃は、おっぱいそのものの量が増えてくるのに加えて、たくさんの母乳量になるために血管やリンパ管のうっ滞やおっぱいのむくみが出てきます。
簡単に言うと、むくみで張っているような感じなのです。
例えて言うなら、渋滞みたいな状態です。
流れたいけど、流れられない、みたいな状態です。
それを、とにかく赤ちゃんにおっぱいをちょこちょこ吸ってもらいます。
そうすることで、圧抜きになり、キンキンにおっぱいが張って痛い、という状況が回避できます。
そうこうしていると、産後4日頃から、母乳の量が増えてきます。
ですが、この頃の授乳のリズムはまだできていません。
1日に10数回の授乳をすることもあります。
退院してすぐで育児についてもオロオロし、この時期に、母乳が足りてないかと不安になることも多いでしょう。
ですが、この時期を越えて、おっぱいは赤ちゃんが飲んだ分だけ作られるおっぱいに変わってきます。
おっぱいを吸われると切れていたい、乳頭痛がある。乳頭痛は母乳が出始める1週間程度で落ち着いてくる
ちょこちょこ頻回におっぱいを飲ませていると、授乳の始めの頃は、乳頭の痛みが出たり、傷ができたりすることがあります。
産後すぐの時期は特に乳頭の痛みを感じることも多いです。
ほとんどは、授乳し始めてすぐ20〜30秒程度で痛みはなくなります。
産後3〜6日に痛みのピークを迎えますが、母乳の量が増えると次第になくなることが多いです。
ただ、上記のような状況でなく、授乳と関係なく痛んだり、授乳の終わり頃や終わってからも痛むような場合は、感染症の可能性もありますので、専門家に相談してください。
また、乳頭痛が授乳中もずっと続くようだったり、1週間経っても痛みを感じる場合は、赤ちゃんがうまく含めていない可能性もあるので、授乳の状況を助産師に見てもらった方が良いでしょう。
赤ちゃんが母乳を飲んだ分だけ母乳が作られるようになる
産後9日頃から、需要と供給のバランスで、赤ちゃんが飲むと飲んだ分だけ調整されるようになります。
おっぱいが張らなくなったから母乳が出ていないと不安になる必要はありません。
赤ちゃんに吸われたら出るおっぱいに変わってきます。
おっぱいを空っぽにしておくことで、次のおっぱいが作られてきますから、赤ちゃんにしっかり吸ってもらいます。
授乳中の抱き方いろいろを覚えよう
あなたが快適に授乳できるように、苦痛を感じた時は入院中から助産師に相談してください。
授乳姿勢を変えたり、含ませ方を変えたりすることで、授乳の快適さが変わります。
入院中に快適な抱っこや育児の方法や、授乳の方法を教わっておくと、自信や安心に繋がります。
乳腺炎の予防にもなることは、おっぱいにいい
- ストレスや疲れを溜めない
- 昼寝を含めてよく寝る
- 快適な方法で授乳する(姿勢・抱き方・含ませ方)
- 乳頭に傷ができないようにする
- 衣服の締め付けがないようにする
- オーバーワークを避ける
- 赤ちゃんと一緒にいて欲しがる時に欲しがるだけ授乳する
- 激しい運動は避ける
私自身、次男の時に乳腺炎を繰り返しました。
あまりの疲労と、浅飲みになりよく白斑ができて、同じところばっかりが詰まっていました。
おっぱいは痛いし、高熱が出て、そこら中の関節まで痛いし、辛かったです。
予防できるに越したことはありませんね。
肩凝り解消できるように動かす
肩凝り、首凝り、背中のコリ、腰のハリ、妊娠中から感じている方も多いです。
産後も、抱っこや授乳に慣れないおむつ替えなどで肩凝り、首凝り、背中や腰の痛みを感じやすいです。
これらを解消できるように動かすことで、血流も良くなり、おっぱいの出が良くなります。
妊娠中から、準備しておかれると良いですね。
マタニティヨガにいらした方から、肩こり、背中のコリが楽になると、よく感想を下さいます。
むくみや身体が楽になるよ。便通改善も。マタニティヨガのご感想
妊娠、出産、子育てに関するたくさんの心配や不安。その不安に飲まれるな!
母乳育児のためにアルコールとタバコはNG
これは、やめましょう。
ただ、どうしてもアルコールを飲みたい人は授乳を1回スキップして、ミルクで補足します。
アルコール摂取は、赤ちゃんに飲ませられないのにおっぱいはたくさん作られるという需要と供給のバランスは悪くなります。
そのリスクは理解して選択してください。
「おっぱい足りないんじゃないの?」の周りからの母乳不足の声は華麗にスルー
「おっぱい足りないんじゃないの?」という心ない言葉は、華麗にスルー!しましょう。
赤ちゃんは、母乳が足りないからという理由だけで泣いているわけじゃないです。
- おしっこしたい
- お腹がムズムズする→うんち出る
- 暑い、寒い
- なんだか不快
・・・などです。
母乳不足かどうかはうんちやおしっこの回数や、色、授乳の状況からも客観的に見ることができます。
詳しくは下記の記事を参考にしてください。
母乳不足?本当は母乳足りてるかも?母乳不足かどうかは、こんな点を見てみると良いですよ。
また、赤ちゃんがぐ〜んっと成長する時期は、母乳不足を感じやすい時期でもあります。
母乳不足?産後2週間の実体験。旦那さんのこんな姿勢に助けられました。
この時期も3〜4日で母乳量が追いついてきて落ち着く場合がほどんどです。
赤ちゃんの欲しがるタイミングでちょくちょくあげていれば、おっぱいもそれに応じて出てくるようになります。
まずは安心して赤ちゃんのお世話に集中できるように周りの人にサポートしてもらえると良いですね。
産後6〜9ヶ月でおっぱいは小さくなりますが、母乳は出ています
産後6〜9か月で、おっぱいの大きさは小さくなります。
ですが、小さくなったからといって出なくなるわけではありません。
おっぱいのサイズは小さくなりますが、おっぱいの産生量は変わりません。
母乳育児のためにあなた自身ができることーまとめ
- 妊娠中からおっぱいに良いことをしておこう。
- お産の後は、できるだけ早い時期に母乳を飲ませよう。
- 産後3日頃のおっぱいの張りの回避のために、母児同室で頻回授乳をしよう。(赤ちゃんに飲んでもらうのが一番)
- 乳頭痛は、1週間頃にはなくなることがほとんど。長く続くときや、授乳中ずっと痛いような時は、抱き方や含ませ方などを助産師に見てもらおう。
- おっぱいを飲ませれば飲ませるほど、おっぱいが作られる。
- 赤ちゃんにしっかり飲み切ってもらおう。
- 乳腺炎の予防になることはおっぱいの良いことばかり。
- 心ない、母乳不足の指摘は華麗にスルーしよう。
- 母乳不足を感じる時は、客観的に評価してみよう。+助産師に聞いてみよう。
水野克己,水野紀子(2011)『母乳育児支援講座』南山堂
国際連合児童基金,世界保健機関(2009)『UNICEF/WHO赤ちゃんとお母さんにやさしい母乳育児支援ガイド ベーシック・コース―「母乳育児成功のための10カ条」の実践』医学書院
堀内成子総編集(2015)『エビデンスをもとに答える妊産婦・授乳婦の疑問92』南江堂
お産の状況や、赤ちゃんの状態、お母さんの状態から、母乳育児したいんだけど、これらのことが叶わない場合もあるかもしれません。
そんな時も、搾乳したり、短時間の直接の授乳をしたり、状況によってできることはありますから、産院のスタッフにどうぞご希望を伝えてくださいね。
あなたが心地よく、初めての育児でも、自分の感覚に従って、赤ちゃんが欲しがるタイミングで欲しいだけ、おっぱいで育てられると良いですね。
YouTubeでも妊娠、出産に役立つ情報を配信しています。
ご興味のある方は、更新情報を見逃さないようにYouTubeへチャンネル登録をお願いします。